Cis.2 ご感想


読者から寄せられた感想を紹介しています。
掲載を許可してくださり、ありがとうございました!
  
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『Cis.2 サンヤー号にのって』

 この作品は、もっとも思い入れの強い力作です。
 読者からの感想も熱がこもっていて、ありがたいばかりです。

 




【テキスト感想】

★ Cis2 感想 『希望から目をそらさないで』


ミズカ、ヨリオ、マイという三人の子どもたちが、
サンヤー号という船に乗って、冒険をするファンタジー小説だ。

物語の舞台にはさまざまな国があり、さまざまな種族がいて、ある面ではうまくやりつつ、またある面ではうまくやれず、
――それはちょうど、わたしたちの世界と同じように――、
必死に生きようとしている。
三人の子どもたちを乗せたサンヤー号は、大海を通じてそんな世界のなかをとおりすぎ、いろんな人たちや出来事と出会う。
船から降りて出会うひとたちも、船のなかにいる乗組員たちも、みんな<事情>を抱えているのが印象的だった。
<生きる事情>とでも言うべきだろうか。
誰もが苦しそうで、必死で、それなのに誰もが自己中心的ではなく、やさしかったのが印象的だった。
例えではなく戦いのなかにいるひとたちが、どうしてこうも他人にやさしく寄り添えるのだろうか。
それはもしかしたら、作者の希望なのかもしれない。

作者はこの物語を書くために十年近い年月を要したと知った。
この作品は作者の生きる姿そのもので、からくも希望を持ち続けた作者の十年の記録なのかもしれない。
だから、やさしくて、眩しい。やさしさが眩しい。
推薦するにあたって言いたいのは、
「目を逸らさないでほしい」ということ。
本気で書かれた作品には、本気で応えてほしい。

この作品は、子どもたちに読んでほしい。
大人たちであっても、十年前の心で読んでほしい。
十年間を巻き戻すことができれば、あなたはそこに、希望を見つけるはずだ。


From:あまぶん公式推薦文
投稿者の紹介:「尼崎文学だらけ」
同人文芸一般の本が集うイベントです。略称「あまぶん」


★ Cis2 感想

船のお話は結構好きなので、琴線にも強く触れておりました。
実際に読んでみて、どんどんお話に引き込まれてしまいました。

読み応えたっぷりのボリュームながらも、章が細かく分かれていたのも読みやすかったですし、次々と船の上で事件が起こっていったので、次は何が起こるんだろう、とわくわくしながら読ませていただきました。
予想以上に時代背景や世界観が暗く、キャラクターに深い影が落ちているのに驚きましたが、反対に子供たちの明るさやほのぼのしたシーン、マイの優しさに救われたように思いました。
魅力的なキャラクターが多くそれぞれに魅力があって素敵だと思いました。特に、マイを支えたり船のみんなが諦めかけているときも闘おうとしているヨリオはかっこよかったです。また、思い悩みつつもちゃんと自分と向き合って前に進んでいくミズカの強さがとても素敵だと思いました。

また、付録の砂の書も楽しく読ませていただきました。お話の裏舞台が見られる機会はあまりないので、本編後に他のところで何があったのか、補完するのが楽しかったです。
今回こんな素敵なお話に出会えて本当に幸せでした。
                                                                     From:葛野 鹿乃子様


★ Cis2 感想

新島さんの『Cis.2 サンヤー号にのって』を拝読しました⛵✨
子どもたちの冒険ファンタジー長編、第二巻。
今回は全編海と航海を舞台にした物語で、船でのさまざまな出会いと人間関係が印象的でした。
初対面同士の関係の築きの難しさや乗組員たちとのやりとり。そしてマイやサンヤー号の過去をめぐる展開は、「みんながんばれ…」と応援せずにおれません。
フォーカスされた登場人物の心境、過去の状況や頑張りに涙腺が緩みます😭。
また謎の襲撃や嵐などの波乱もあり、ドラマに満ちた一冊でした。
Cis.3もぜひ拝読したいと思います🥰。
                                                                     From:鈴山 理市樣


★ Cis2 感想

泣いちゃった……。すごく面白かったです。
お言葉に甘えて、好きなシーンの話をいくつか。

親友マイの語らない過去について尋ねていいかわからないミズカ。
”マイとなにか気持ちを共有したい、と思った。そうすることで、友達としての感覚を取り戻せるんじゃないかと、焦っていた。(中略)
マイはうん、と頷きかえしてくれた。けれどそれきり、何も話してくれなくなってしまう。
二人の心はそれこそ、ガラス細工のようだった。”
新島さんの書き口は本当にストレートな言葉で、少年少女の心の機微を衒わず、軽んじず、真摯に言語化しておられるところが好きだなと思います。

また、ヨリオとマイという兄妹(血は繋がっていないけど一緒に育った義兄弟)が登場するのですが、ヨリオはお調子者なのだけれどマイのことを本気で心配してずっと近くで守っていて、彼の想いもまた真っ直ぐで。
そんなヨリオの台詞、
”大丈夫だ。なにも怖いことはない、俺がいるだろう!”
それを受けて、なにがあっても、マイの一番側にあってケアする立場(たぶん本人はそう思ってない)であろうとしたヨリオが、他の仲間に彼女の心を託すシーンがあるんだよね……。本当にネタバレなのでそこは引用しませんが、すごく良いシーンでした。

そして小さな事件も大きな事件も色々あった後での、
”この船は沈ませない”
という言葉(それを言った人が誰か、ということも含め胸が熱くなった)

物語の作り方も緩急あって素晴らしいなと思うのですが、ともかくグッとのめり込んで笑ったり泣いたりしながら楽しめる、すてきな冒険小説でした。良き本をありがとうございました。
                                                                     From:伴 美砂都様


★ Cis2 感想 『充実の海洋小説』

一巻との世界観とはガラリとかわって、本格的な海洋物。
もちろんファンタジー要素もたっぷりなのですが、二巻の主人公はマイ。
彼女の過去や生い立ちが少しずつ掘り下げられていきます。
登場人物の数も多く、それぞれが重い過去を背負っていて、たいへん読みごたえのある作品に仕上がっています。
番外編で補足される過去もあり、読み終わる頃にはサンヤー号とのお別れ
がつらくなっているのではないでしょうか。
状況は厳しいものの、この船の上は、子どもに優しい世界です。
船長さんがなぜそんなに成人女性が苦手なのかは最後まで謎なのですが、本当にいい船に乗せてもらいましたね。
次巻は、魔神も足を踏み入れるのをためらう冷たい管理社会が描かれるということで、作風の幅の広さにも驚かされます。
From:鳴原あきら様


★ Cis2 感想

普段小説を市販のものも含めあまり読まないものですから、読み切るのにかなり時間がかかるのでは…と思いましたが、そんな心配は無用で、読み始めたらどんどん内容に引き込まれて、次へ次へと読んでしまい、本の最後の方では終わってしまうのが残念なくらいでした。

 好きなシーンはいろいろありましたが、五章でミズカちゃんが船長に叱られるシーン、気持ちがすごく伝わってきました。 九章のチビの事情、それを聞いたヨリオくんの気持ち、お互いに出会えて話が出来て良かったねーとうるうるしました。

また、マイちゃんと船長の事情が他の登場人物も絡めながらじわじわと明らかになっていくのが物語の核心に近づいていく感じでワクワクしつつも、その悲しい事情に泣きながら読みました。特に二十一章から二十三章は…😭 その分それ以降の清々しさも良かったです。この出来事を通じてみんなが成長できたんだろうなあというのが伝わってきました✨
伏線がお見事でした。知った後に読み返すとまた違った気持ちで読めるのが良いです。 読後がとても気持ちの良い作品でした。一緒にサンヤー号に乗っていたような気分です⚓️ 
登場人物や独自の種族はキャラクターブックや巻頭資料のおかげでとても分かりやすかったです。ボトルオさんがなんだかお気に入りキャラです
                              From:中丸 様



★ Cis2 感想 

船上と、上陸したわずかな土地という限られた舞台に多くの登場人物がひしめく設定がとても賑やかで華やかな物語でした。加えて、そうも人口密度が高いにもかかわらず常に保たれている「和」には、どこか「ジブリ映画」を思わせる雰囲気を感じ取りもしています。

しかしながら一方で登場人物らの故郷は過去、戦火を交えた歴史がある事を考えると、和やかな見た目の裏に絡む重く複雑な関係を、互いの距離感を、想像せずにはおれません。ふまえてなお保たれている「和」を省みたなら登場人物の誰もがいかに前向きで、力と意思と勇気にあふれているかは際立ち、文字として書かれていない作品の大きな魅力に繋がっているなと感じています。
また同時にそれら雰囲気から作者が自分の中の「何か」を確認している、なぞりかえしている、そんな固い決意? 信じているモノの存在を感じ取ることができました。一気に書き上げた情熱もライフワークとしての執筆活動も、その「何か」が原動力なのでは、と勝手に想像を巡らせています。でも、無いところから創り出すって、たいがいそんな感じですよね。

さて物語は中盤まで、巡る船員たちのドラマによって少しずつ全貌が明らかになってゆく仕組みで、その成り行きにおや? と思っては、よかった、と胸をなでおろすの連続でした。その際の独白や心理描写の的確さ、そのエモーショナルなところには、すごいなーと思うばかりです。思いながらもう、ノリにノッて書いている作者に大いに便乗させて読ませていただきました。
特に25章のマイと船長のシーンが絵になる文章として、印象に残っています。
ただ一つ、全体を通して気にかかったのは、多用されている会話、掛け合いがちょっとばかり冗長かなという点でしょうか。どうしても登場人物たちが勝手に喋ってしまうアレについては、自分も分かるだけに何とも言い難いのですが……。

そして最後の嵐の海がスゴかった。それまでワルツを刻んでいた物語が急にヘビメタに変わったたかと思うほどの筆運びの変化で、びっくりです。しかしながら海の荒れようや、翻弄されてガタガタな登場人物たちが手に取るように伝わってきて読んでいて大いに白熱しました! 嵐のデカさと迫力が、立ち向かうヨリオのアクションの豪快さが、とても好みでした。ウソのように全てが丸く収まるところも、こうでなくちゃ、とヒザを打ちたくなる潔さが好印象です。

まだまだ続く物語のようですが、本当に本当のラストは一体どうなるんだろう。そう思わせてくれる物語でした。
                        From: N.River 様


イラスト(+作者から一言)】


★ツネぎく様より


Cis.2 テコとチビ

2020年文学フリマ京都にあわせて、
ツネぎく様が
発行されている『いろいろ通信』
広告枠に
Cis.2を載せていただきました!
さらに、代表の二人を描いてもらいました!
船をあわせた天才的なデザインに感動✨
テコちゃんの横顔も、望遠鏡をのぞき込む
チビの表情もとても素晴らしいです。
お礼してもしきれないくらいです、
本当にありがとうございます。